ホテル・トリフィート小樽運河にチェックインし、快適な客室で危うくそのまま撃沈しそうになりましたが(笑)、まだ外は明るい。
せっかく小樽まで来たのですから、ここで部屋に籠もってしまうわけにはいきません。
今回の目的は、漫画『ゴールデンカムイ』の舞台となった小樽の街を歩きながら、作中に登場する建物や、そのモデルとされる歴史的建築を巡ること。
小樽観光協会では「物語の始まる場所、小樽」として、作品世界を感じられるスポットをまとめたモデルコースを公開しています。
今回はこのルートを参考にしながら、明治から大正期の面影が残る小樽の街を歩いてみます。
旅行期間 2026/4月
エリア 札幌
テーマ 観光
Vol.1 JAL511 羽田-新千歳 搭乗記|往復1,500マイルの北海道旅へ
Vol.2 列車事故で運転見合わせ!幸運にもサッポロビール庭園駅で停車、北海道工場ツアーへ
Vol.3 アパホテル〈TKP札幌駅北口〉EXCELLENT宿泊記|想像以上に広い客室!札幌駅北口の穴場ホテル
Vol.4 サッポロビール博物館プレミアムツアーに参加!ビール園でジンギスカン
Vol.5 ニッカウヰスキー余市蒸溜所を再訪!カクテルセミナーとRITA’s KITCHEN
Vol.6 ホテル・トリフィート小樽運河 宿泊記|昭和の銭湯風大浴場と充実の朝食ビュッフェ
Vol.7 ゴールデンカムイの舞台・小樽を歩く!作中シーンと歴史的建築を巡る聖地散策
Vol.8 JAL516 新千歳-羽田 搭乗記|往復1,500マイルで楽しんだ北海道旅行の帰路
(旅程)
JAL511 HND(10:20) – CTS(11:55)
JAL516 CTS(16:00) – HND(17:45)
「北のウォール街」の面影を残す旧三井銀行小樽支店
ホテルを出てしばらく歩くと、いきなり重厚な石造りの建物が現れました。
これは小樽芸術村 旧三井銀行小樽支店。
『ゴールデンカムイ』に直接登場する建物ではありませんが、小樽がかつて「北のウォール街」と呼ばれた時代を象徴する銀行建築のひとつです。
現在は小樽芸術村の施設として内部も公開されています。

小樽芸術村 旧三井銀行小樽支店
「北のウォール街」と呼ばれた小樽を象徴する旧三井銀行小樽支店。
作品に直接登場する建物ではありませんが、明治から大正にかけて小樽が北海道経済の中心地としていかに栄えていたのか、その空気を感じるにはぴったりの場所です。
ホテルを出てちょっと歩いただけで、いきなりこんな歴史的建築にぶつかる。
これが小樽のすごいところです。
小樽大正硝子館本店|鶴見中尉登場シーンを思わせる建物
さて、ここから本格的に『ゴールデンカムイ』の世界へ入っていきます。
こちらは現在、ガラス製品を扱う小樽大正硝子館本店。
建物は旧名取高三郎商店で、石造りの壁と和風の屋根を組み合わせた、小樽らしい歴史的建築です。
『ゴールデンカムイ』単行本2巻・第16話で鶴見中尉が登場する場面には、この建物の特徴である「うだつ」によく似た背景が描かれています。

小樽大正硝子館本店(旧名取高三郎商店)
現在はガラスショップですが、外観を眺めると漫画の中にそのまま出てきても不思議ではない雰囲気です。
「これがあのシーンの背景かもしれない」
と思いながら見ると、普通の街歩きとは少し違って見えてきます。

小樽大正硝子館本店(旧名取高三郎商店)
横から見ると、石造りの外壁と和風建築が組み合わされた独特な造りがよく分かります。
『ゴールデンカムイ』の世界観にもよく合いますが、今見てもかなりおしゃれ。
最近のレトロブームにもぴったりで、古さというより「ハイカラ」という言葉のほうがしっくりきます。

小樽大正硝子館本店(旧名取高三郎商店)
外観だけ見て終わるのももったいないので、中へ入ってみます。

小樽大正硝子館本店(旧名取高三郎商店)
昭和レトロというより、まさに大正レトロといった雰囲気。
趣のある内装の中に、色とりどりのガラス製品が並んでいます。
これがなかなか魅力的。
聖地巡礼のつもりで入ったはずなのに、うっかり何か買ってしまいそうになります(笑)。
小樽浪漫館|土方歳三の銀行襲撃シーンを連想
小樽大正硝子館本店の向かいにあるのが、小樽浪漫館。
建物は旧百十三銀行小樽支店で、現在はガラス小物やアクセサリーなどを扱う店舗として使われています。

小樽浪漫館(旧百十三銀行小樽支店)
『ゴールデンカムイ』単行本4巻・第34話で、土方歳三が銀行を襲撃する場面があります。
その銀行のモデルとされるのが、この旧百十三銀行小樽支店。
面白いのは、作品に描かれた建物が当時の銀行の姿というより、現在残っている建物のデザインによく似ているところです。
土方歳三がここへ乗り込んでくる姿を想像すると、かなり作品世界に入り込めます。
実際に歩いてみると、漫画の中で見ていた建物や街並みがそのまま目の前に出てくる感じがして面白い。
今まで紙面の中だけだった風景が現実とつながることで、物語の手触りというか、世界観の解像度が一気に上がった気がします。
「あ、この辺を杉元や鶴見中尉たちが歩いていたんだなぁ」と思いながら見ると、普通の小樽観光とは全然違って見えてきます(笑)。
旧小樽倉庫から小樽市総合博物館運河館へ
続いて向かったのは旧小樽倉庫。
1890~1894年頃に建てられた大規模な木骨石造の倉庫で、小樽が北海道物流の中心として栄えていた時代を象徴する建物です。

旧小樽倉庫
『ゴールデンカムイ』単行本4巻・第30話で、鶴見中尉が武器を仕入れている港の場面があります。
その背景には、この旧小樽倉庫によく似た建物が描かれています。
現在は建物の一部が小樽市総合博物館運河館として利用されています。

小樽市総合博物館 運河館
閉館時間ギリギリでしたが、ここにはどうしても見たいものがひとつありました。
ということで、ほんの少しだけ館内へ。

小樽市総合博物館 運河館・アイヌ衣装「テタラペ」
見たかったのはこれ。
アシㇼパの衣装を思わせる、アイヌ民族の衣装「テタラペ」です。
ただし、作品中でアシㇼパが着ているアットゥㇱとは素材が異なります。
こちらのテタラペはイラクサの繊維を使った衣装。
小樽とアイヌ文化、さらに樺太との文化的なつながりを感じることのできる貴重な展示です。
これで一番見たかったものは見られました(笑)。
閉館まで少し時間があるので、館内を駆け足で巡ってみます。

小樽市総合博物館 運河館
閉館間近ということもあって、お客さんはほとんどいません。
館内には、かつての小樽の街並みや暮らしを再現した展示があります。
現在の観光都市としての小樽とはまた違う、港町として栄えた頃の姿を感じることができます。

小樽市総合博物館 運河館
中庭へ出てみると、石造りの重厚な建物の様子がよく分かります。
こうした建物を実際に目の前で見ると、『ゴールデンカムイ』の背景に描かれている小樽が決して大げさなものではなく、実在した街並みをかなり取り入れていることが実感できます。
旧大家倉庫|稲妻強盗とマムシのお銀の舞台を連想
そこからもう少し足を伸ばして向かったのが、旧大家倉庫(きゅうおおいえそうこ)。

旧大家倉庫
1891年、北前船主・大家七平によって建てられた倉庫です。
妻壁に描かれた「ヤマシチ」の印が特徴的。
『ゴールデンカムイ』単行本11巻・第107話、稲妻強盗とマムシのお銀、そして鶴見中尉が対峙する場面では、この旧大家倉庫によく似た建物が背景として登場します。
建物そのものがかなり重厚なので、漫画の緊迫した場面にもよく合います。
ゴールデンカムイにも登場する小樽運河
ひと通り『ゴールデンカムイ』の世界を感じられる建物を巡ったあとは、もちろん小樽運河へ。
北日本倉庫港運の石造倉庫群を背景にした、おなじみの小樽運河の風景です。
小樽に来たという実感が一気に湧く場所ですね。
『ゴールデンカムイ』にも小樽運河を思わせる風景が登場します。
ただ、ここにはひとつ面白い歴史上の矛盾があります。

小樽運河
『ゴールデンカムイ』の物語は主に明治40年頃を舞台にしています。
ところが、現在の小樽運河が完成したのは大正14年(1925年)。
つまり杉元やアシㇼパたちが小樽を歩いていた時代には、現在の小樽運河はまだ完成していなかったことになります。
作品では小樽らしさを象徴する風景として描かれていますが、実際の歴史と照らし合わせてみると、こんな“時代のトリック”があるのも面白いところです。
小樽に来たならやっぱり寿司!おたる政寿司本店へ
さて、ゴールデンカムイ聖地巡りをひと通り終えたところで、そろそろ夕食です。
今日の夜は何を食べよう。
特に決めてはいなかったのですが、気分的にはやっぱり……
回らないお寿司(笑)
港町・小樽まで来たのですから、きっと美味しいネタがあるに違いありません。
小樽運河近くにいたので、最初は近くの政寿司へ行こうと思ったのですが、なんと定休日。
オフシーズンだからでしょうか。
仕方がないので坂道を登り、おたる政寿司 本店へ向かうことにしました。

おたる政寿司 本店
予約していないけれど、大丈夫なのだろうか……。
とりあえず行ってみると、お客さんはわずか3組ほど。
しかも日本人は私だけ(笑)。
人気店なので混んでいることも覚悟していましたが、拍子抜けするほどスムーズに入ることができました

おたる政寿司 本店
今日は朝から余市へ行き、そのあと小樽を歩き回ってかなりの距離を歩きました(笑)。
まずはビールとイカ刺し。
小樽ではウニ醤油で食べるのがおすすめだということで、さっそくいただいてみます。
うん、美味しい。
イカの甘さにウニの濃厚な風味が加わって、普通の醤油とはまた違った味わいです。
小樽、いいなぁ~(笑)。
そのあと握りとお椀を軽くいただいて、満足。
今回は細かな食レポというより、板前さんと話をしながらゆっくり寿司を食べる時間そのものが印象に残りました。
GW前の小樽は意外な狙い目?
板前さんと話していると、この時期の北海道について興味深い話を聞くことができました。
3月下旬からゴールデンウィーク前あたりまでは、北海道観光としては比較的落ち着く時期なのだそうです。
確かに今回の旅を振り返ってみると、
サッポロビール北海道工場も少人数、サッポロビール博物館も空いていて、小樽の人気寿司店にも予約なしですんなり入れました。
一方、ゴールデンウィーク以降の観光シーズンになると、政寿司本店も予約しておいたほうが安心とのこと。
今回の旅は偶然4月上旬になりましたが、結果的には非常に歩きやすい時期だったようです。
今年はイクラ不足?
板前さんとの話でもうひとつ印象に残ったのがイクラ。
今年はイクラの入荷がかなり少なく、価格が高いだけでなく、そもそも良いものがなかなか入ってこないのだとか。
翌朝ホテルの朝食ビュッフェでイクラが並んでいるのを見て、
「ホテル、頑張ってるなぁ(笑)」
と思ったのは、この話を聞いていたからです。
たまには回らない寿司店で、板前さんと地元の話をしながらゆっくり食べる。
これも旅先ならではの楽しみですね。
まとめ|ゴールデンカムイをきっかけに歩くと、小樽の街がもっと面白くなる
今回の小樽散策は、『ゴールデンカムイ』の聖地巡礼を目的に歩き始めましたが、実際に街を巡ってみると、それ以上に小樽そのものの歴史の厚みに驚かされました。
旧三井銀行小樽支店に始まり、鶴見中尉の登場シーンを思わせる旧名取高三郎商店、土方歳三の銀行襲撃シーンのモデルとされる旧百十三銀行、旧小樽倉庫、旧大家倉庫。
さらに小樽市総合博物館運河館では、アシㇼパの衣装を思わせるアイヌ民族の衣装「テタラペ」も見ることができました。
そして何より面白かったのは、漫画の中で見ていた風景が、現実の小樽の街並みとして次々と目の前に現れたこと。
紙面の中だけだった建物や街の空気が、実際の大きさや距離感、周囲の景色とつながることで、『ゴールデンカムイ』の物語の手触りというか、世界観の解像度が一気に上がったように感じました。
「あ、この街の中を杉元や鶴見中尉たちが動き回っていたんだなぁ」
と想像しながら歩くと、歴史的建築も単なる古い建物ではなく、物語の舞台そのものとして見えてきます。
ひと通り聖地巡礼を楽しんだあとは、小樽らしくお寿司を食べることにしておたる政寿司 本店へ。
予約なしで向かったので少し心配でしたが、店内は驚くほど空いていてスムーズに入ることができました。
板前さんの話では、3月下旬からゴールデンウィーク前くらいまでは北海道観光が比較的落ち着く時期なのだとか。
確かに今回の旅では、札幌でも余市でも小樽でも人が少なく、人気店や観光施設をゆっくり楽しむことができました。
政寿司ではイカ刺しをウニ醤油でいただき、そのあと握りとお椀を軽く。細かな食レポというより、板前さんと小樽や北海道の話をしながら、ゆっくりお寿司を楽しめたことが印象に残っています。
ゴールデンカムイを知っているからこそ小樽の歴史が面白くなり、実際の小樽を歩いたことで作品の見え方も変わった。そして最後は小樽らしい寿司で締める。
歴史、漫画、街歩き、食。小樽の魅力を一度に味わえた一日でした。
ゴールデンウィーク前という比較的静かな時期だったことも含めて、今回の小樽はかなり満足度が高かったです。

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