遠い昔になりますが、今から約30年程前、学生時代に日本でもまだ珍しかったバックパッカーでヨーロッパ旅行に出かけた時の話です。
エジプトのカイロ空港で印象深い出来事があり、それがずっと尾を引きずっていました。
それが引き金となりちょっと一般の人とは違うのではないかと思う価値観で人生を過ごしてきましたが、その経緯思い起こしながら「自分を自由にするお金の話」として綴っていきたいと思います。
30年前と現代との違い
現在では学生が海外に出て行かないと問題視されていますが、その当時はむしろ航空券が高くて学生の分際ではちょっと工夫しないと遠く異国の地には行けなかった時代でした。
ヨーロッパまで行くには例えばビーマンバングラディッシュ航空とか当時のソ連のアエロフロートのスポレフ機とかちょっと危ない飛行機で時間をかけてヨーロッパまで飛ぶのがまだ主流で金額も14万円ぐらいで一番安かったんです。
今ではもっと安くフルキャリアの直行便が飛んでいますから航空券のデフレも甚だしいですね。
丁度HISが今ほど認知度はなかったのですが、格安航空券の会社として起業したばかりのころでした。
意外と日本の若い人もヨーロッパに渡っていましたが、ツアーで来るのは農協のおじさんおばさんぐらいでツアーで来る若い人は一握り。
ましてヨーロッパに行くだけでも大変なので買い物ツアーなんてなかったんです。
欧米では一般的ですが、お金がない若い人は安宿を探しながら大きなリュックを背負ってあるく「バックパッカー」が主流で結構それも楽しかったのです。
筆者も「地球の歩きかた」を片手にリュックを背負って地図を広げて歩いたものです。
ちなみに日本では後にその姿を「カニ族」と言っていたことがありますが、定着しませんでしたね。
40代の疲れた感じのおじさん
ヨーロッパをユーレイルパスを使って回り、ギリシャを経てエジプトに行った時のことです。
両替所の近くの椅子に座って休んでいたところ、ふと気がつくとそばに40代を少し過ぎたぐらいのおじさんが座っています。
どうやら同じようにバックパッカーのようにも見えた風貌と若干疲れているような雰囲気があり、暇だったので声をかけてみました。
バックパッカー同士だと異国の地で日本人が少ない場所だと日本語で少し話がしたくなったりするので、声をかけて話をするのは普通のことだったんです。
話してみると、会社を辞めて旅に出てきたということでした。
そこで一言「会社なんてそんなもんだからね」というなんとも疲れて嫌になってしまった感がある話をしたのがすごく印象的でした。
自分は違うと思いながらずっと過ごしてきた。
旅行中は欧米の人も日本人も同じ年代の学生とかちょっとだけ年上ぐらいの人と仲良くなって観光地を一緒に回ったりもしていましたが、年上の人とはあまり話したことがなく、それがなんとも悟りきったような様子で妙に気になってしまいました。
きっと何かあったに違いないのだけれども、それは自分には関係なくて自分はそうはならないとなんの根拠もなかったのですがその当時は思っていました。
ですので、ほとんど他人事で「かわいそうに、大変でしたね」(でも僕は違うよ)とその当時そう思っていました。
まだ若かったし、自分にかなり自信を持っていたんですね。
それから卒業して会社に就職して働き始めてもどうしてもそのことが頭の片隅に引っかかっていて、「会社には頼らない」「会社が自分を利用するのではなく、自分が会社をうまく自分のために利用し尽くす」を意識して過ごすようにしてきました。
今現在思うこと
さて、今思うと!あの時のカイロ空港で出会ったおじさんがまるで30年後の自分と対話していたのではないかと思えてなりません。
実はタイムマシーンで今現在の筆者がまだ若かった自分に警告を発する為にあの場所に行ったのではないかと。
あのなんとなく感じた違和感でものの見方を少し違った角度から見続けて、もしかしたら同じようになるかも、、と危機感というか恐怖があったのは事実です。
そのような中で、今まで色々な人生の選択があった時に、自分にとって一番快適でお得な選択はどちらだろうと常に考えるようになりました。
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