先週は台湾にいましたので久しぶりに飛行機の中で10月31日付の日経新聞の記事を見てふと思うことがありました。
記事の内容としてはゆとり世代は中高年が夢中になった自動車やステレオなどに見向きもせず消費より将来のために貯蓄を重要視していて、2%のインフレ目標達成は難しいということです。
私はこの記事で言うところの中高年に該当しますが、昔の消費と今の消費は全く異なるので比較すること自体が意味をなしていないのです。
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物を購入することで幸せが訪れるのか?
社会が成熟して行くにつれて「物を買う」という事の意味が少しづつ変わります。
日本のゆとり世代に物欲がないわけではなく、従来の「物を買う」意味が変わった為、従来的な考え方では統計上の比較はできないし、むしろ世界の先進国で同じ現象が起こりつつある(金余りのはずなのにインフレにもならない)ことから見ると、むしろ日本の若者は既に世界の最先端をいっているのではないかとも思えてくるのです。
第一段階:生きるために物を購入する
物が少ない時代は食料品のように生きていくために必須のものを購入することが主流になります。それ以外の物は憧れで現実的に買う訳ではないのです。
第二段階:所有欲を満たす為に物を購入する
今の中高年がこの層にあたります。
特にバブルを経験した世代にとってはお金で物を買うことが自分の存在意義を示すことになっていましたし、それで自分を表現することが好まれた時代でもあったのです。
この時代の価値観を引きずっているので今の若い人は高額商品を買わなくなったという分析結果になってしまうのです。
第三段階:幸福感を得る為に経験(コンサートや旅行、特別な食事など)を購入する
バブル世代から後の世代がこの価値観に気がついた世代です。
物を所有するより経験にお金を消費する段階です。昔はCDを所有することで音楽を楽しんでいましたが、今はCDを買うよりも音楽そのものを色々な場所でストリーミングで楽しむようになっていますし、フェスなどが流行っているのもみんなで楽しむという経験を楽しむという消費に変わって来ているのです。
きっとその方が物を所有するよりも記憶に残りやすく幸福が持続することに気がついたからでしょう。
第四段階:経験を購入する為に他の消費を極限まで削って一気に購入する
経験を購入した方が良いと気がついた世代の次の動向としては、より高い経験をするためにそのほかの出費を抑えて経験を買う方向に向かうのではないかと思っています。
そう考えると一般の消費が落ち込んでいるのはその分を経験の消費に回そうとしている表れでではないでしょうか。
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若年層ほど貯蓄率が高いのは異常なことか?
若年層は将来の不安から貯蓄をして大きな消費をしないという論調もありますが、むしろ所有欲よりも経験欲が強くなったために日常の食事や高額商品を抑えている結果ですし、それを刺激しようとお金をばらまいても所有するより経験の方が幸福になると肌感覚で気がついている人にとっては物を買うことをしません。
むしろ物を持つよりも今しかできない体験をする意味がわかっている証拠?
若年層の収入が少ないのは当然といえば当然で、それを一点集中で経験を得るために使おうとしているのであれば、それは時代の価値観ですので変えるのは困難ですから今後もデフレ傾向が続くのは当然でしょう。
お役所も統計の取り方がおかしいのではないかと気がついたようですが、まさにその通りで中高年が考える昔のお金の使い方とは違って来ているので、実は老後の為に貯蓄をせっせとしているという訳ではなく、使うために貯めているという健全な動向ではないでしょうか。
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